プリクラッシュブレーキ

★:

グレード、オプションなどにより、装備の有無があります。

メニュー
 

主に前方の車両や歩行者に衝突する可能性がある場合、運転者への警報による衝突回避の支援を行います。それでも運転者の衝突回避操作がない場合、衝突の直前にシステムが急ブレーキをかけ、衝突被害を軽減または衝突を回避します。また、運転者の衝突回避操作があった場合はプリクラッシュブレーキアシストにより衝突回避をアシストします。

シフトレバーがD、MまたはNのとき作動します。

また、発進時などに誤ってアクセルペダルを踏み、前方の障害物に衝突する可能性がある場合、システムがブレーキをかけ、衝突を軽減または回避します。

知識

システムによるブレーキ中に音が聞こえることがありますが制御によるものであり、異常ではありません。

警告

  • プリクラッシュブレーキおよびプリクラッシュブレーキアシストを、日常の車両停止のために利用することは絶対にしない。

    • プリクラッシュブレーキはあらゆる状況で衝突を回避するものではありません。ブレーキの作動をプリクラッシュブレーキのみに頼っていると、衝突事故を起こす場合があります。

  • 警報が作動した場合は前方や周囲を確認の上、運転者の判断でブレーキペダルを踏むなどの適切な操作をする。

  • EyeSightのプリクラッシュブレーキは、主に車両への追突の回避、あるいは、追突の被害を軽減することを目的としている。また、車両以外にも二輪車、自転車、歩行者を制御の対象としているが、条件(→条件)によっては認識できない場合がある。横向きの車両や、対向車両、後退してくる車両、小動物や幼児、フェンス、壁や扉などに対しては作動しない可能性が高くなる。

  • プリクラッシュブレーキは衝突が避けられないと判断した段階で作動し、衝突直前で強いブレーキをかけるように設定しているので、その効果は様々な条件(→条件)により変わる。そのため、常に同じ性能が発揮できるものではない。

  • プリクラッシュブレーキが作動したとき、アクセルペダルを操作してもプリクラッシュブレーキを継続する。プリクラッシュブレーキを解除するためには、アクセルペダルを急激にまたは深く踏み込む。ただし、アクセルペダルを最も奥まで踏み込んだときは、システムがブレーキペダルとアクセルペダルの踏み間違いと判断して、プリクラッシュブレーキを継続することがある。

  • 運転者がブレーキペダルを踏んでいたり、ハンドルを操作していたりすると、その操作状態によっては運転者の回避操作として判断され、システムによるブレーキが作動しない場合がある。

  • プリクラッシュブレーキ作動中に、アクセルペダルを強く踏んだり、ハンドルを操作したりすると、場合によっては運転者の回避操作とシステムが判断し、プリクラッシュブレーキの作動が解除される。

  • 前方の車両との速度差が約50 km/h(歩行者の場合は約35km/h)より大きい場合、EyeSightの性能限界から衝突を回避することはできない。また、速度差が約50 km/h以下(歩行者の場合は約35 km/h以下)であっても、他の車両が急に割り込んだ場合や、視界、路面の滑りやすさなどの条件(→条件)の違いにより、止まりきれないことや作動しないこともある。また、プリクラッシュブレーキアシストも同様に条件(→条件)の違いにより作動しないことがある。

条件
  • 前方の車両との速度差、車間距離、接近の状態、横方向のずれ具合(オフセット量)

  • 車両の状態(積載量、乗員など)

  • 路面の状態(勾配、滑りやすさ、形状、凹凸など)

  • 前方の視界が悪いとき(雨、雪、霧、煙など)

  • 対象物が車両(自動二輪車、自転車含む)、歩行者以外の場合

    ―動物など

    ―ガードレール、電柱、木、フェンスや壁など

  • 対象物が二輪車、自転車、歩行者であっても、周囲の明るさ、動きや姿勢、角度などによって、制御対象とシステムが認識できない場合

  • 運転者の操作状態(アクセル、ブレーキ、ハンドルなど)から運転者が衝突回避操作をしたと判断したとき

  • 車両の整備状態(ブレーキ関係、タイヤの摩耗、空気圧など)

  • 車両などをけん引しているとき

  • 外気温が低いときや走行開始直後などでブレーキが冷えているとき

  • 下り坂などでブレーキが過熱してブレーキの効きが悪くなっているとき

  • 水たまり走行後や洗車後などブレーキがぬれてブレーキの効きが悪くなっているとき

  • ステレオカメラの認識状態

    特に次の場合は止まりきれないことや、作動しない可能性が高くなります。

    • 悪天候(強い雨、吹雪、濃霧)のとき

    • 先行車や対向車両の水、雪、土埃などの巻き上げや水蒸気、砂、煙が舞い、視界が十分でないとき

    • 夜間またはトンネル内でヘッドランプを点灯していないとき

    • 夜間またはトンネル内で先行車の尾灯が点灯していないとき

    • 夜間の二輪車、自転車、歩行者に接近したとき

    • 夕方、朝方の薄暗いとき

    • ヘッドランプ照射範囲外に車両(二輪車、自転車含む)、歩行者が存在するとき

    • 前方から強い光(太陽光などによる逆光やヘッドランプの光など)を受けたとき

    • フロントウインドウガラスに曇りや雪、汚れ、霜、土埃などの付着や傷などがついているとき

    • ウォッシャーの使用中または使用後で、フロントウインドウガラスが十分に拭き取れていないとき

    • 雨滴やウォッシャーの水滴、またはワイパーブレードがステレオカメラの視野を遮ることにより、対象物の認識が不完全になったとき

    • 前方の車両の最後面が小さい、低い、または凹凸があるとき(最後面ではない部分を認識して作動を判断することもあります)

      ―荷台にあおりがない空荷のトラックなど

      ―後端から積荷が飛び出している車両など

      ―特殊な形状の車両(キャリアカー、サイドカーなど)

      ―車高の低い車両など

    • 停車している車両の前に壁などがあるとき

    • 車両の近くに別の物体があるとき

    • 横向きの車両など

    • 対向車両や後退してくる車両など

    • 対象物の大きさや高さがステレオカメラ認識限界より小さいまたは低いとき(小動物、幼児、しゃがんでいる人、横たわっている人など)

    • 対象物がフェンスや壁、シャッターなどのとき

    • 対象物がガラスや鏡の壁や扉などのとき

    • 先行車が急ハンドル、急加速、急減速したとき

    • 車両(二輪車、自転車含む)、歩行者が横からすぐ目の前に割り込んだり、すぐ目の前に飛び出してきたとき

    • 自車が車線変更を行い、先行車のすぐ後ろに接近したとき

    • 自車バンパーの近い位置に車両(二輪車、自転車含む)、歩行者が存在するとき

    • 速度差が約5 km/h以下の場合(接近してから制御を行うため、対象物の形状・大きさによっては最後面がカメラの視野範囲から外れる場合があります)

    • 急カーブ、急な上り坂、急な下り坂の場合

    • 路面にうねりや未舗装などで凹凸があるとき

    • トンネルの出入り口など明るさが変化するとき

  • お客様ご自身でプリクラッシュブレーキの作動テストを絶対に行わない。

    • 止まりきれないことや作動しないことがあり、思わぬ事故につながるおそれがあります。

  • 次の状況では、システムが正しく動作しません。プリクラッシュブレーキをOFFにしてください。

    • タイヤの空気圧が適正でないとき

    • 摩耗したタイヤまたは摩耗差の著しいタイヤを装着しているとき

    • 指定サイズ以外のタイヤを装着しているとき

    • パンク修理キットで応急修理をしたとき

    • サスペンションを改造したとき(トヨタ純正品を含む)

    • ステレオカメラの視界を妨げるようなものを車体に取り付けたとき

    • タイヤチェーンを装着しているとき

    • ヘッドランプが汚れていたり、ヘッドランプに氷雪、泥などが付着していたりするとき(対象物を正しく照射できず認識しづらい)

    • ヘッドランプの光軸がずれているとき(対象物を正しく照射できず認識しづらい)

    • ヘッドランプなどのランプ類を改造したとき

    • 事故や故障で自車の走行が不安定なとき

    • ブレーキ警告灯(赤色)が点灯しているとき

    • 重い荷物を積んでいるとき

    • 定員を超えているとき

    • メーターの表示灯、警告灯が正常に点灯・消灯しない場合や、ブザーが鳴らない、液晶表示が通常時と異なるなど、メーターに何らかの異常があるとき

    ※1:

    ホイールおよびタイヤは大変重要な役割を果たしていますので、適正なものを使用してください。(→タイヤ・ホイール

    ※2:

    ブレーキ警告灯(赤色)が消灯しないときは、直ちに安全な場所に停車し、トヨタ販売店に連絡し、点検を受けてください。(→ブレーキ警告灯(警告ブザー)

    ※3:

    メーターの機能、動作(→計器類

注意

次のような場合は、プリクラッシュブレーキが予期しない作動をすることがありますので、必ずプリクラッシュブレーキをOFFにしてください。

  • けん引されるとき

  • キャリアカーに積載するとき

  • シャシーダイナモメーターやフリーローラーなどを使用するとき

  • リフトアップし、エンジンをかけタイヤを空転させるとき

  • 垂れ幕や旗、垂れ下がった枝、草むらなどに触れながら通過するとき

  • サーキットなどでスポーツ走行するとき

  • 車両が移動するタイプの洗車機を使用するとき

次のような場合は、プリクラッシュブレーキが作動することがありますので安全運転に努めてください。

  • ETCゲートなどを規定速度を超えるような速度で通過するとき

  • 前車に接近して走行するとき

  • 路面の勾配が急に変化する場所を走行するとき

  • 先行車や対向車両の水、雪、土埃などの巻き上げや水蒸気、砂、煙が舞い、視界が十分でないとき

  • 水蒸気や煙のかたまりなどを通過するとき

  • 大雪、吹雪など悪天候の中を走行するとき

  • 寒いときなど先行車が排出した排気ガスがはっきり見えるとき

  • カーブや交差点に障害物があるとき

  • 車両や障害物の横すれすれを通過するとき

  • 前方の壁や車両すれすれに停車するとき

  • 消雪パイプや散水車などの散水を通過するとき

プリクラッシュブレーキを解除するためには、アクセルペダルを急激にまたは深く踏み込んでください。ただし、アクセルペダルを最も奥まで踏み込んだときは、システムがブレーキペダルとアクセルペダルの踏み間違いと判断して、プリクラッシュブレーキを継続することがあります。この場合、アクセルペダルを踏み続けるか、再度踏み込んでください。

装着した用品などがフロントバンパー先端より前方に突出した場合、先端が長くなるため衝突を回避できないことがあります。

システムによるブレーキ中にブレーキペダルを踏んだとき、ペダルが固く感じられることがありますが、異常ではなく、さらに踏み込むとブレーキを踏み増しできます。必要に応じてブレーキを踏み増ししてください。

歩行者認識について

EyeSightは歩行者を認識します。歩行者認識は対象物の大きさや形状、動きから行っています。頭部、両肩の輪郭が明瞭であるときに認識します。

  1. 約1~2m

警告

EyeSightのプリクラッシュブレーキは、条件によってはシステムが制御対象を認識できない場合があります。特に、次の状況では、歩行者を制御対象と認識できない可能性が高くなります。

  • 集団で歩いているとき

  • 壁際や障害物のそばにいるとき

  • 傘などをさしているとき

  • 背景と似た色合いで背景に溶け込んでいるとき

  • 大きな荷物を持っているとき

  • 前かがみになっている、しゃがんでいる、横たわっているとき

  • 暗い場所にいるとき

  • 横からすぐ目の前に割り込んできたり、すぐ目の前に飛び出してきたとき

プリクラッシュブレーキの作動

走行中、前方に障害物があるとき、次の順にシステムが作動し、運転者への注意喚起とブレーキ制御を行います。ブレーキ制御中は制動灯が点灯します。

  1. 車間距離警報:
    衝突の可能性があると判断した場合に、ブザー(ピピピ…)とメーターの表示で注意を促します。ブレーキペダルを踏んで減速し、適切な車間距離をとると解除します。
    車間距離警報は全車速追従機能付クルーズコントロールをセットしていないときに作動します。
    ブレーキペダルを踏んで減速し、適切な車間距離をとると解除します。
  2. 1次ブレーキおよび警報:
    走行時に前方障害物に衝突する可能性が高いと判断した場合、ブザー(ピピピ…)とメーターの表示で注意を促し、ブレーキ制御を行い、また、エンジン出力を抑制します。運転者の衝突回避操作(ブレーキペダル、ハンドルなど)の操作量により、衝突する可能性が低くなったと判断した場合、作動を解除します。
  3. 2次ブレーキおよび警報:
    さらに衝突する可能性が非常に高いと判断した場合、ブザー(ピーー…)に変わり、1次ブレーキより強くブレーキ制御を行います。その後、運転者による衝突回避操作の有無にかかわらず、衝突が回避できないと判断した場合、ブレーキ制御およびエンジン出力の抑制を継続します。
    停止すると“ピッ、ピッ、ピッ、ピピーン”というブザーが鳴ります。その後ゆっくりとシステムによるブレーキが解除され、クリープ走行を開始するため、車両停車後は必ずブレーキペダルを踏んでください。

知識

  • 次の場合、プリクラッシュブレーキの1次ブレーキおよび2次ブレーキは作動しません。

    • 自車速が約1 km/h以下(シフトレバーがNのときは約4 km/h以下)または約160 km/h以上のとき

    • VSCが作動しているとき

  • 先行車の制動灯の点灯を認識した場合は、認識しない場合と比べて若干早めに減速を開始します。

  • 前方障害物との速度差が大きい場合など、1次ブレーキの継続時間が長いときは、警報効果を高めるため、ブレーキを強めたり弱めたりする場合があります。

プリクラッシュブレーキが作動すると、マルチインフォメーションディスプレイにメッセージを一定時間表示します。

システムによるブレーキの強さ

マルチインフォメーションディスプレイ

警報音

車間距離警報

微弱

ピピピ…

1次ブレーキおよび警報

弱い

ピピピ…

2次ブレーキおよび警報

強い

ピ――…

プリクラッシュブレーキアシストの作動

プリクラッシュブレーキ作動後(前方障害物に衝突する可能性が高いと判断後)、運転者がブレーキペダルを踏み込んだとき、緊急制動と判断し、ブレーキアシストが作動します。

知識

プリクラッシュブレーキアシストは、自車速が約10 km/h以下または約160 km/h以上のときは作動しません。(→ブレーキアシスト

注意

車間距離警報だけ作動している状態で運転者がブレーキペダルを踏んでも、プリクラッシュブレーキアシストは作動しません。運転者による通常の制動力で減速します。

プリクラッシュブレーキをOFFにするとき

メーターの設定項目でプリクラッシュブレーキ(プリクラッシュブレーキアシストを含む)をOFFすることができます。

“運転支援機能”の“PCB(プリクラッシュブレーキ)”の項目で“OFF”を選択することでプリクラッシュブレーキがOFFになります。(→ユーザーカスタマイズ機能一覧

プリクラッシュブレーキをOFFにすると、メーター内のプリクラッシュブレーキOFF表示灯が点灯します。

知識

  • プリクラッシュブレーキのON/OFF設定は、AT誤発進抑制制御およびAT誤後進抑制制御と連動します。

  • プリクラッシュブレーキをOFFにしても、エンジンスイッチをOFFにしてから、再度エンジンを始動するとプリクラッシュブレーキはONになります。

プリクラッシュブレーキOFF表示灯

エンジンスイッチをONにすると点灯し、エンジン始動後約7秒後に消灯します。

プリクラッシュブレーキ、AT誤発進抑制制御およびAT誤後進抑制制御をOFFにすると点灯します。

また、次の場合にも点灯します。

知識

プリクラッシュブレーキOFF表示灯が点灯しているときは、プリクラッシュブレーキ(プリクラッシュブレーキアシストを含む)、AT誤発進抑制制御およびAT誤後進抑制制御は作動しません。